腐女子解体新書

腐女子による腐女子のための腐女子考察

同人大手作家さんについて

昔から「弱小サークルですが大手壁になりたいです。どうすればいいですか?」といった質問を某所で見ることが多いのですが、回答の大半が「厨に受ける話を描けばいい」。
質問者は「厨に受ける作風って何ですか?」と聞き返します。すると途端に誰も答えられなくなるという場面を何度か見かけました。
最終的には「考えるな感じろ」といった回答で終了します。

そもそも、この「厨向け」って何なのでしょう。実は筆者もよくわかっていません。

「厨に受ける作風」とは、第一に厨=信者がホイホイできるものではないかと思われます。
次に言えるのは、厨=初心者という定義がありますから、初心者でも入りやすい作風と呼べるでしょう。
初心者に受ける作風は、難解であったり分かる人には分かるといった作風ではいけません。端的に言えば、テンプレ、王道と呼べばいいかと思います。
少数派や自称玄人の人にはバカにされがちな、こうした作風ですが、いずれにしろ王道テンプレ作品だけを量産できるのも、需要がある以上、才能だと思っています。
一概にバカにするのはいかがかなものかと。むしろ、こうしたテンプレ人気作家ほど解体しがいがあるのではと思ったりします。

私基準で厨に受ける作家の特徴を具体的にあげますと、やおい初心者に受ける要素を散りばめることが第一にあります。
受けちゃんを「姫」と呼んだり、攻めくんが何故か未成年なのに喫煙してたり、とかです。
私にとっては、既にこれらの要素が黒歴史殿堂入りしてるので、目の当たりにすると鳥肌がたつのですが、今も昔も若い子に受けるのはこうした痛い中二要素です。

そして物語はわかりやすい少女漫画であること。すれ違いと誤解、だけど2人の気持ちは常に一致していた、愛してるもう離さない。
これです。韓流ドラマくらいのあざとさで迫ります。
そして、とても大事なのはホモポエムです。ホモポエムのうまさで人気は変わるといってもいいと思います。考えると大したこと言ってないのに、何だかすごくかっこいいことを言ってる気がする…と読者に思わせるホモポエムが書ければ、人気作家の仲間入りは近いです。
ちなみに筆者は書けません。

同人を長くやってて芽が出ない人ほど「どうしてコイツが大手なんだ!ギギギ」してることが多いです。バカにしてるわけではありません。ご安心ください。筆者もこちら側の人間です。
年を重ねると嫌でもそういうサークルさんがでてきます。だけど人気あるし、みな列をなして買っている。
そこには絶対にそうなる理由があるはずです。(私なりの分析ですが)圧倒的多数に受けるとは、つまり「ごはん」みたいな存在じゃないのか?
誰の口にもあう、嫌いな人はいない、必ず食べる、そういう作風です。

しかし、同人歴が長くなると「ごはん」だけじゃ満足できなくなります。
「おかず」(夜のという意味でなく)が欲しくなります。癖があればあるほどいい、辛いのも激辛も、甘いのもごく甘も欲しい!

そう、実は厨受け作家さんとは、かつて自分が大好きだった「ごはん」であり、今は「ごはん」だけでは満足できなくなって、「おかず」に走っているだけなのです。
試しに、腐女子になったきっかけの同人誌を再読してみるとよいかと思います。私が今あげた要素が満遍なく入っているかと思われます。
今は昔の自分をすっかり忘れ「どうしてこいつが…」と思うようになってしまったのだろう、と思いました。

ところで、某女性向け大手サークルさんの話では、本気萌えで同人誌を発行したことなどなく、先ほど示した厨に受ける作風を徹底研究した、すべて計算の上で描いてるとのことでした。職業同人作家さんのほとんどはきっとそうなのでしょう。

こう書くと「愛がないのに原作をダシにしてる!」と荒れる正義厨さんがいますが、彼女らの読者はどんな目的であれ、作品に満足し感動すらしているのだから、結果オーライというか、理由や理屈は関係ないのではと思ったりします。