腐女子解体新書

腐女子による腐女子のための腐女子考察

エロマンガにおける表現の画一化問題について

エロマンガをわざわざ読む理由って、エロを通じた関係を見たいんであって、エロそのものが目的じゃないんだって思う。でもこれって、王道のエロマンガファンとは呼べないかもなあ。ある意味すごく女性的だと思う。もちろんエロ描写そのものも好きですけどね。


あと、オタク向けのエロ表現にはお腹いっぱい、食傷気味というか飽きましたってのが正直な感想。いわゆる乳袋とか割れケツとか。
女性向けだとマッチョ受とか。マニアックな方に流れれば流れるほど、どうして記号化されてしまうのか。欲しいのはフェティシズムであって、マニアックではない。


エロ表現はデフォルメも大事だけど、強化するところ間違えてるというか、どうしてそっちを強化しちゃったんだ的なデフォルメが多くて、ほおらこう描けばお前らは喜ぶんだろ?みたいなのが多すぎでね。
うまくなくてもいい、その人にしか描けない(フェティッシュな)エロを読みたいんです本当は。


デフォルメってテンプレがまずあって、それをなぞって模倣するから実は一番やりやすい方法なんだよね。むしろまったく普通の絵から、その人のオリジナリティーを感じさせることの方がテクニックとしては遥かに高度なわけです。けど、そういう一見普通に見えるけどすごく凝っているものの宿命は目立たないこと。どうしても地味になってしまうこと。手っ取り早く目立てて、楽できるのは間違いなく流行りのデフォルメを取り込むことになる。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するオタク」で言えば描き手の皆さんは、パブロフのワンワンみたいに乳袋さえ描けば読者は喜ぶと思っているのか、むしろ描き手がワンワンなのか。


好みの問題だけど、この人はここにこだわりがあるんだなって分かるエロ表現を持ってる人は、ワンアンドオンリーな表現を持っていて、私はそれを「フェチ」って呼んでいるわけです。こういう描き手がオタク側に少ないのはとても悲しいことです。本当はこういう描き手こそ「オタク」と呼ばれて然るべきなのに。


裸の描き方もだけど、コマの流れとかテンポ? リズム? みたいなのも、全て画一化されてて、それ以外は許しませんみたいな風潮が今の商業エロにはあって、マニュアルでもあるのかってくらい足並み揃ってて、逆に不気味になる。


そうした方が受けがいいからで、所詮、こんな戯言もマイノリティーゆえの愚痴なんですけど。でも画一化させておきながら、人気がさがれば、はいさいならーするわけで、それって最初から作家性なんて微塵も求めてないってことですよね。それじゃ業界が衰退するに決まってる。


長い目でものを見ない刹那主義的な風潮は、バブル以降の不景気日本の象徴たる現象だけど、そういうのが文化面でもはびこるっのは純粋に悲しいことです。読み手としても描き手としても。


こうしてください、ああしてください、これじゃ受けないですって注文ばかりのオタクコンテンツは、結局、オタクコンテンツほど自由がなくて、むしろ不自由である証で、オタク以外の分野のマンガの方が遥かに自由度があったりする。今の出版業界を見てるとつくづくそう思う。